第三章 仮想法廷三 法住寺合戦事件

概要 

 木曽義仲軍が法皇御所を焼き討ちし、法皇を幽閉したという通説(俗説)は平家物語の
捏造(ねつぞう)であり誤りである。

 (注:このなかの証人及び証言は筆者の推定(独断と偏見)です)
「法住寺合戦事件」

一  開廷 検察官論告

被告  義仲軍残党(木曽次郎義仲以下将兵代理)
証人 平家物語原作者
証人 平家物語編集者
証人 琵琶法師
証人  九条兼実「玉葉」著者
証人 慈円「愚管抄」著者
証人 藤原経房「吉記」著者 
証人 中山忠親「山槐記」著者 
証人 藤原定家「明月記」著者 
証人 鎌倉「吾妻鏡」編集者 
証人 京都市民 
証人 山(比叡山延暦寺)寺(三井寺)僧
証人 平家軍残党
証人 源頼朝(鎌倉政権初代征夷大将軍)
証人 仁科盛弘(信濃平氏)
証人 村上信国(信濃源氏)
証人 安田義定(甲斐源氏)
証人 渋谷重助(鎌倉軍武将)
証人 伊子
証人 北条義時(鎌倉政権執権)

 

裁判長 「ただいまより、寿永二年十一月の法住寺合戦事件の審理を開始する。
     検察官は罪名と罰条を述べて下さい」

検察官「木曽義仲および木曽義仲軍は法皇御所に押し寄せ、放火し御所を全焼

     さ せ、天台座主明雲、その他御所警備の多数の武士を殺傷した。

     さらに法皇や天皇を逮捕し監禁し、幽閉した。
 罪名、国家反逆罪、殺人罪、放火罪、器物損壊罪、逮捕罪、監禁罪」
 罰条、死刑、位階剥奪」

裁判長 「被告人は、罪名を認めますか」
被告(義仲軍残党)「認めない。木曽義仲軍は下級官吏の平知康(ともやす)

     らによるクーデター(武力で政権を奪い取る)を鎮圧(ちんあつ)した

     ものである。これが後日、平家物語編 集者や琵琶法師により捏造(

     ねつぞう)されたものである。 法皇御所は全焼していない。また法

     皇の幽閉もしていない。平家物語の捏造(ねつぞう、作り話)である

     。多分、後の承久の乱の北条氏の処分を置き換えて非難したものだ

     ろう」

二  平家物語作者等の証言

検察官 「証人、平家物語原作者に質問します。木曽義仲軍の法住寺御所での

     乱暴狼藉は事実ですか」
証人(平家物語原作者)「なるべく事実に忠実に書いたつもりです。しかし、

     後日、琵琶法師や編集者が朝庭や鎌倉の頼朝に迫害されないように

     変更したようです。また鎌倉政権の乱暴狼藉を義仲軍に置き換えて

     非難しているようです」

検察官 「証人 平家物語編集者に質問します。原作を改編しましたか」
証人(平家物語編集者)「もちろんです。原作どおりでは面白くないし、また

     権力者の朝廷や鎌倉の批判、悪口なども書けません。後の承久の変

     における乱暴狼藉を全て義仲軍に置き換えました」

検察官 「証人 琵琶法師に質問します。原作を改編しましたか」
証人(琵琶法師)「もちろんです。原作どおりでは面白くないし、また権力者

     の朝廷や鎌倉政権の批判、悪口なども語れません。後の承久の変に

     おける乱暴狼藉を全て義仲軍に置き換えました」

三  九条兼実等の証言

検察官 「証人、九条兼実に質問します。木曽義仲軍の法住寺御所での乱暴狼

     藉は事実ですか」
証人(九条兼実)「私は病弱でしたので、実際には見ていないが、信用出来る

     人達の情報を得たので、多分、法住寺御所での乱暴狼藉は事実だと

     事実だと思います」

弁護人 「それでは、あなたの日記「玉葉」の寿永二年七月二十一日の平家軍

     の人数を数えた時、何人でしたか」
証人(九条兼実)「私の使用人が数えました。千八十騎でした。間違いありま

     せん」

弁護人 「これを世間の風聞では七ないし八千騎、または一万騎と称してい

     る。有名無実の風聞かくの如しではありませんか」
証人(九条兼実)「全くその通りです。軍勢の数は大袈裟な風聞となってい

     ます」

弁護人 「平家物語では木曽軍は五万騎が入京したとなっていますが、実際は

     何騎くらいですか」
証人(九条兼実)「多分、五千騎くらいでしょう」

 

 

 

 

 

 

十五 判決

 

裁判長 「判決を言い渡す。

 

     主文、木曽義仲及び木曽義仲軍は無罪。

 

     判決理由、


     平家物語などによる木曽軍の法皇御所への攻撃や御所の焼き討ちの記

     述は事実ではなく捏造(ねつぞう、作り話)である。
     また法皇や天皇の幽閉も捏造である。後の承久の変の北条義時の処分

     を義仲に置き換えて非難しているものである。
      承久の変の後鳥羽上皇などへの島流しなどの厳しい処分に比べても

     何の非難されるべきものでもない。
 
                  以上」

 

 

 

 

法善寺(長野県麻績村) 義仲ゆかりという。
法善寺(長野県麻績村) 義仲ゆかりという。
山吹堂(長野県麻績村) 山吹姫を祭るという。
山吹堂(長野県麻績村) 山吹姫を祭るという。
文殊堂(長野県長野市鬼無里) 義仲の文殊像を祭るという。
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玉泉寺旭観音堂(長野県長野市) 義仲ゆかりの観音という。
玉泉寺旭観音堂(長野県長野市) 義仲ゆかりの観音という。
武水別神社(長野県千曲市) 義仲が戦勝祈願したという。
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